終末期の医療はどうしますか?延命治療したいですか?…終活にはこのテーマもあります。
延命治療って何のコト?…生命維持のための治療です。延命治療と尊厳死との選択。でも、延命治療が具体的にどんな治療なのかを知らないと答えが出せませんよね。調べてみました。
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延命治療の定義は?
延命治療とは
「回復の見込みが無い終末期」の患者に対して「生命維持のために」提供される治療のことです。
医学が発達した現代ではあっても、治療による回復が困難な状態になる高齢者は多いです。そして、高齢者は免疫力が低下しているために延命治療が必要な状態に陥りやすいです。
延命治療とは具体的にはどんな治療のことをいうのでしょうか。
一般的には「人工呼吸器の装着」「人工透析療法」「人工栄養法」などになるようです。蘇生処置の心臓マッサージや血圧を下げる薬剤の投与を含む場合もあります。
延命治療は、生命維持にはなるものの、患者自身の心身の苦痛の期間が延びますし、人間らしく尊厳をもって最期を迎えられるか、という面が問題になります。
延命治療として行われる主な治療法3種
高齢者の延命治療で行われる医療行為の幾つかを説明します。
人工呼吸器の装着
脳死など昏睡状態になり自力呼吸ができないときや、肺機能の低下のために充分な酸素量を身体の中に確保できないときに装着します。
チューブを口から挿入または気管切開して挿入し、人工呼吸器で肺に酸素を送ります。
その結果、悪化していた呼吸状態が改善し一命を取り留めるケースもあります。そのとき、自力で呼吸が復活すれば人工呼吸器が外せます。
でも、病状により、自力呼吸が困難であるために永続的に装着しているケースもあります。人工呼吸器を外すと呼吸が止まってしまうので、心臓が動いている限りは装着し続けることになります。
人工栄養法
食物を飲み込む嚥下機能が低下してしまったときに行われます。
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点滴や胃ろうなどにより、水分や栄養を摂り込みます。「静脈栄養」と「経腸栄養」があります。
「経静脈栄養法」は、静脈に管を通し薬剤を投与します。
「経腸栄養療法」は、鼻や胃にチューブを通し、液体状の栄養剤を注入します。
口や喉の手術後、患部の安静を保つ目的で一時的に施されることもあります。病状の回復が見込めず、口から食事が食べられない状況が続くと慢性的に続けることになります。
人工透析法
腎臓機能の低下や腎不全に陥ったときに施されます。
外科的に血液中の老廃物除去・電解質維持、水分維持などを行います。
人工透析は一度始めるとその後は週に3回程度の治療を続けることになります。
延命治療の苦しみとガイドライン
延命治療は文字の如く延命になります。少しでも長く生きたいから、生きていてほしいから、延命治療を求めたくなります。
でも、延命治療は本人の心身の苦痛も続くことになります。
延命治療により、生命は維持されているものの、ベッドから動くこともできず、会話もできず、ときには意識がない状態で生き続けることもあるかもしれません。それは本人の苦痛にもなります。
その苦痛を受け入れて延命治療を選ぶのか否か。その選択は誰がするのでしょう。
終末期の医療についての厚生労働省のガイドラインがあります。
「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」です。
【参考】・厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン 解説編」
このガイドラインの中で、
「医療及びケアの在り方」は「本人の決定が基本」とされています。
「医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ…患者本人による決定を基本としたうえで人生の最終段階における医療を進めることが最も重要な原則である」
さらに「方針の決定手続き」としては次のように説明されています。
患者の意思確認ができる場合
→患者の意思決定を基本とし
患者の意思確認ができない場合は
①家族が患者の意思を「推定」できる場合
→その推定意思を尊重し
②家族が患者の意思を「推定」できない場合
→家族と医療従事者が話し合い最善の治療方針をとる
③家族がいないor家族が判断を医療従事者に委ねる場合
→患者にとって最善の治療方針をとる
終末期医療の選択には、本人の意思が確認できることがだいじです。
本人の意思確認ができないときの家族の心理的負担は大きいです。
家族や医療従事者が懸命に考えて最善と思われる選択を導き出したとしても、家族はいつまでも「本当によかったのか?」と問い続けることになるのではないでしょうか。
まとめ
人生の最終段階での医療について、延命治療を選ぶのか尊厳死を選ぶのか。自分で決めておくことがたいせつです。
人工呼吸器の装着、人工栄養法、人工透析療法などの延命治療。回復の見込みはないけど生命は維持できてる状態。
遺された家族に心の負担をかけないためにも、自分の選択をエンディングノートに記しておきましょう。