お葬式を執り行うのに「友引」を避ける人や地方は多いです。結婚式場の予約を「大安」にする人も多いです。「大安」や「友引」などの「六曜」は、気にする人にはとても気になる大事なこと。でも、その六曜が、2033年には消えちゃうかも知れない2033年問題。どういうこと?
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目次
友引がなくなるかも知れないのは旧暦が作れないから?
日本の冠婚葬祭は、昔からの暦(旧暦)を拠り所としていることが多いです。大安や仏滅、友引など、行事、祭事の日を決める際に気になる六曜。
その日が六曜の中のどれに該当するのかは、旧暦のルールによって決められてきました。
その旧暦が作れなくなるかも知れない、というのが2033年問題です。
六曜って何?
六曜とは、暦に記載される「暦注」の一つです。
先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6個があります。
中国で生まれたもので14世紀に日本に伝わったと言われています。
仏教関連のようなイメージがありますが、仏教とは一切関係なく、どちらかと言えば根拠のない「迷信」の一つです。
でも、かなり日本の暮らしに根付いています。
六曜は旧暦で決まる
六曜をどの日に当てはめるのか、にはルールがあります。
◎六曜のルールその1:
「六曜は順番に繰り返す」
六曜は基本的には先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の順で繰り返します。
◎六曜のルールその2:
「月毎にスタートする六曜が決められている」
旧暦の各月によってスタートの六曜が変わります。
1月1日先勝から始まる
2月1日友引から始まる
3月1日先負から始まる
4月1日仏滅から始まる
5月1日大安から始まる
6月1日赤口から始まる
7月1日先勝から始まる
8月1日友引から始まる
9月1日先負から始まる
10月1日仏滅から始まる
11月1日大安から始まる
12月1日赤口から始まる
旧暦って何?
日本は明治6年から、万国共通のグレゴリオ暦(太陽暦)を採用していて、今に至っています。
それまで使用されていた天保暦は廃止されたのですが、そのときの暦注の一つである六曜はそのまま残されたため、旧暦も並行して残っているような状況になりました。
ただし、旧暦は国の制度としては廃止されたものですから、公に管轄する組織はありません。
旧暦の暦は、カレンダー業界や、天文学者、国立天文台などが、天保暦のルールに則ってそれぞれに作成していました。でも、ルールに沿って作成するのでそれぞれの暦は一致しているので問題はありません。
旧暦のルールとは?
旧暦は月と太陽によって決めます。
暦を作成するうえで、いくつかのルールがあり、その中の代表的なものに次のようなものがあります。
◎旧暦のルールその1:
「月の動きを基本とする暦」
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旧暦では、1か月は、新月から次の新月の前日までの約29.5日です。
1年が354日で計算します。
でも、そのまま運用していると季節がずれてしまうので、3年程度に1回「閏月」を追加することで調整します。閏月がある年は1年が13か月となります。
◎旧暦のルールその2:
「新月を月の初日とする」
地球から見て月と太陽が重なり、全く月が見えない「新月」を月の初日1日と設定します。
◎旧暦のルールその3:
「各月の名前は、二十四節気を元に決定する」
二十四節気は、交互に配される12の節気と12の中気で構成されています。中気の日を含む月の名称がその中気に該当する月の名称になります。
◎旧暦のルールその4:
「最初に夏至・冬至・春分・秋分を含む月を定める」
二十四節気のうち、初めに、夏至を含む月が5月、冬至を含む月が11月、春分を含む月が2月、秋分を含む月が8月と決めます。その次にその前後の月の名称を決めていく、というルールです。
2033年に迎える問題とは?
これまでは「閏月」によって調整しているだけで不都合が生じることはありませんでした。
それが2033年にはルール通りに暦を作成できない不都合がいくつか発生するのです。
その一つが『9月か10月が無くなる?』問題です。
2033年9月以降の新月(1日)と、旧暦ルールで月名を決める要素の4つの中気(夏至・冬至・春分・秋分)を、現在のグレゴリオ暦で整理するとこうなります。
9月23日の秋分は旧暦の8月、さらにその日は新月なので旧暦8月1日になります。
冬至は12月21日なので旧暦11月に含めます。
12月21日直前の新月は11月22日なのでその日が旧暦11月1日になります。
この2つの新月(9月23日と11月22日)の間には新月が1回しかありません。
月の1日に設定できる日が1回だけです。でも、8月と11月の間は、9月と10月の2か月を設定しなければならないはずです。
こんなふうに旧暦が決められなくなってしまうのです。
暦が作れなければ六曜も決められない
暦が作れないと、六曜も決めることができません。友引や大安、仏滅が存在しない1年になってしまうかも知れないんです。
一般の私たちは、日程を決める際の拠り所にしていたものがなくなるけれど、無ければ無いで、かえって決めやすくなるのかもしれません。
でも、葬儀関係の事業者さんたちにはとても気になる問題でしょうね。
「友引」は葬儀関係の行事を避ける慣習が根強く、その日を休業日にしたり、設備点検の日にしたり、ある意味、業界全体の非営業日みたいな日でしたからね。
でも、もし、友引が無くなると、現代の競争社会では休業しない事業者が出てくる可能性があります。出始めると次々に休まない事業者が現れて、業界全体が1年中営業することになってしまうかもしれません。事業者さんたちにはけっこう大問題なんですね。
解決策はあるの?
友引とかの六曜がなくなってしまうかもしれない2033年問題。
旧暦を管理してくれる公の組織が無いのですから、民間の知恵でなんとかしていくしかなさそうです。
天文学者や社団法人カレンダー暦文化振興協会、国立天文台がそれぞれ、問題の解説と解決方法を提案しています。国立天文台は公の組織ですが暦の管轄は職務にはありません。いくつかの案を提案してくれましたが決定はしてくれないんですよね。
まだもう少し時間はあるので、民間からでは強制力はないとしても、共通する解決策が生まれることを期待します。
参照
まとめ
旧暦を元に日本の暮らしの中に連綿と続いてきた友引や大安、仏滅などの六曜。迷信とはいえ、かなり日本の生活に浸透してます。結婚式や地鎮祭には大安を選び、葬式は友引を避けるなどします。
六曜の中でも主に気にするのはその3つ。それ以外の先勝・先負・赤口はそれほど話題にはなりませんけどね。
もしも六曜がなくなってしまったら、日程を決めるのには楽ちんですけど、何だかちょっと物足らない気持ちがしてしまいます。
四季折々の美しさがある日本の二十四節気や六曜は、情緒豊かでいいなぁと思います。続いてほしいですね。